祭りや食文化への支援で地域を活性化。大臣表彰を受賞した取り組みに込めた思いとは

【画像】大臣表彰授賞式の様子
アサヒビール株式会社(以下、アサヒビール)は、第8回(令和7年度)企業版ふるさと納税に係る大臣表彰を受賞しました。「祭り・花火の支援」「食文化の継承」の2つをテーマにしたプロジェクトで、寄付を通じて自治体が取り組む地域の魅力を発信する事業を支援したことが高く評価されました。公募で選ばれた全国15の自治体への総額1億円にのぼる寄付は話題を集め、現在も地域社会の活性化に寄与する活動を継続して行っています。プロジェクト発足の背景や寄付の成果などを、プロジェクトを推進した担当者にお聞きしました。
持続可能な社会を目指して。グループ全体で取り組むサステナビリティ基本方針とは
今回お話を伺ったのは、アサヒビールS&OP企画部の藤澤達也さんです。
「アサヒビールなどのグループ会社を統括するアサヒグループホールディングスは、サステナビリティ基本方針を掲げており、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を両輪で推進しています。この方針は、環境、コミュニティ、責任ある飲酒、健康、人権という5つの重要課題を軸としており、様々な取り組みを継続して行っています」と話します。2024年度の取り組みで焦点を当てた課題は、5つの課題のひとつである「コミュニティ」の領域でした。その背景には、人口減少や少子高齢化、地域社会の希薄化、地方経済の衰退といった課題の顕在化があるといいます。「全国に拠点を展開する企業として、人と人とのつながりを創出し、地域社会を活性化させることを目的に、このプロジェクトをスタートさせました」と続けます。
支援対象の具体的テーマには「祭り・花火の支援」と「食文化の継承」が選ばれました。当時は新型コロナウイルス感染症の影響で祭りが中止されたり、飲食店への来店客が減少したりと、地域は相当疲弊していたといいます。「こうした地域からの声を受け、地域の象徴である祭りや花火、そして産業や観光の基盤である食文化を支援することで、地域活性化の役に立てればという思いがありました」
これらの取り組みは藤澤さんが所属するS&OP企画部が担当となり、公募形式で実施されることになりました。

【画像】茨城県かすみがうら市「霞ヶ浦ガストロノミーツーリズム」事業に寄付を実施。
自治体の都合を考慮したスケジュール感で、多くの自治体からの応募を獲得
プロジェクトは3月ごろからの仮申請、4月の申請受付を経て大型連休明けの5月に本申請を行うというスケジュールで進みました。「急いだ理由は自治体の予算措置の都合を考慮したためです。有識者を含む選考委員会による審査を経て、5月中旬には採択結果を通知しました」と藤澤さんは振り返ります。プロジェクトに応募した自治体数は147に上り、これは全国の自治体の12%に及びます。
プロジェクトの第1弾となる「祭り・花火の支援」では、地域への来訪者創出や地域経済への波及効果、単発の支援に終わらない継続性や将来性などが重要な選定基準になったといいます。第2弾「食文化の継承」プロジェクトでは、地域固有の食資源の活用や、産業・観光の発展性、さらに既存の取り組みにとどまらず、新メニュー開発やイベント実施など新たな価値を創出する意欲的な姿勢が重視されました。選考の結果、「祭り・花火の支援」では5自治体が、「食文化の継承」では10自治体が選ばれ、全国15自治体に対して総計1億円の寄付を実施しました。

【画像】寄付を実施した島根県津和野町「津和野街道食まつり」の様子。
プロジェクトを通して企業の取り組みが広く知られる
本申請した自治体数は147ですが、仮申請の段階では述べ203自治体からの申請があったといいます。「これだけ多くの自治体から関心を得られたことは、企業の取り組み姿勢への理解を深める成果だと捉えています」と藤澤さん。また、各自治体で行われた寄付の贈呈式には地方紙やテレビ局が取材に訪れ、地方ニュースなどで広く報道されました。さらには大臣表彰を受賞するなど、同社の取り組みは広く知られることになります。
また、これらがもたらしたものとして自治体との関係深化が挙げられるといいます。「寄付を行った自治体だけでなく、そのほかの自治体からも相談が寄せられるなど、注目度の高さを活かして自治体との関係を深めることができました。自治体と直接意見交換を行う機会を得られたことも企業としては大きな成果であったと考えています」
第1弾、第2弾のプロジェクトでの成果を基盤として、第3弾、第4弾のプロジェクトへとつながっていきます。継続的な取り組みをすることにより、単発でなく数年にわたって企業の姿勢が理解される環境が形成されつつあるといいます。

【画像】北海道余市町より、「北海ソーラン祭り/花火大会」への寄付に対する感謝状と公益貢献賞を授与された。
グループが取り組む「スマドリ」を、寄付を通して全国規模の取り組みに
2025年度に行った第3弾のプロジェクトに選ばれたのは、サステナビリティ基本方針の「責任ある飲酒」でした。同社が取り組んでいる「スマートドリンキング」、通称「スマドリ」の推進をテーマに全国の自治体に対して公募が行われました。「日本ではお酒を飲む人が4,000万人、飲まない人が5,000万人、合わせて約9,000万人が共存しています。飲む人だけでなく、飲まない人も含めた多様な人々が飲食の場を一緒に楽しめる社会の実現を目指す取り組みがスマドリです」と藤澤さん。この第3弾では最終的に選ばれた10自治体に、総額1億円が寄付されました。
「企業版ふるさと納税と連携したスマドリの取り組みに対しては、自治体からは多様な反応がありました」と藤澤さんは話します。健康増進を目指す自治体、温泉地など夜間の観光経済を活性化させたい自治体、あるいは飲まない人も楽しめる環境づくりを希望する自治体などに寄付され、それぞれの取り組みに活用されています。「第3弾でも、地域の課題解決に向けたたくさんの応募がありました。飲む人と飲まない人が共存できる環境には、様々な解釈があることを実感しています」と続けます。
この取り組みは2026年に第4弾として引き継がれ、2026年5月下旬には全国10自治体が寄付先に選ばれました。

【画像】山形県山形市「山形花笠祭り」では、寄付を活用した提灯更新事業が実施された。
自治体が期待を寄せる「持続可能な社会の実現」への取り組みに注目
そのほかのアサヒビールの地方創生への取り組みとしては、青森県のリンゴ農家を支援する「ひろさき援農プロジェクト」が挙げられます。これは2022年から参画しているリンゴを原料とするスパークリングワイン「シードル」造りを守るための官民連携の地方創生プロジェクトで、リンゴ農家の深刻な人手不足を補うために全国から参加者を募り、「リンゴ農家ボランティアツアー」を行うというものです。毎年継続的に行っており、これまでのボランティアの延べ参加者は約600名にのぼります。リンゴ農家の人手不足解消やシードル原料の安定確保に寄与しているだけでなく、弘前市を訪れる関係人口の創出・拡大にも大きく貢献していることが高く評価され、企業版ふるさと納税に係る大臣表彰をはじめ様々な賞を受賞しました。
この「ひろさき援農プロジェクト」や、2024年から始まった継続的な公募型寄付プロジェクトの取り組みは、同グループが掲げるサステナビリティを具体化する代表例といえます。第5弾以降の実施については未定といいますが、同社による「持続可能な社会の実現」に向けた取り組みには自治体からも大きな期待が寄せられており、今後の動きに注目が集まっています。
アサヒビール株式会社
ビール類、ビール類以外の酒類(洋酒、RTD※、ワイン、焼酎)及びアルコールテイスト飲料を製造・販売。2020年からは「スマートドリンキング」宣言に基づき、飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現に取り組んでいます。顧客の期待を超える商品やサービスを提供するとともに、サステナビリティへの取り組みを一層加速させることで、顧客にとって、世界で一番魅力的で、ワクワクするビール会社を目指しています。
※「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなど
語り手

アサヒビール株式会社 経営戦略本部 S&OP企画部
藤澤達也さん
| 会社・団体名 | アサヒビール株式会社 |
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