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企業版ふるさと納税活用事例

信頼を運ぶ運送会社として、理念と共鳴するプロジェクトへの寄付を~田中陸運株式会社~

公開日 : 2026年 6月18日観光・交流

取材者宮森祐巳子 / 言の葉・ライター

1年前にデザインをリニューアルした田中陸運株式会社のトラック

【画像】1年前にデザインをリニューアルした田中陸運株式会社のトラック

昭和19年(1944)の創業以来、「ひとつひとつに真摯に向き合う姿勢」を大切にし、楽器や家具、精密機器などの輸送を手がける田中陸運株式会社。同社は、メインバンクからの提案をきっかけに、徳島県美波町の「うみがめと共に生きる町プロジェクト」へ企業版ふるさと納税を活用した寄付を実施しました。企業版ふるさと納税という制度をどのように捉え、活用に至ったのか、田中陸運株式会社代表取締役の田中大策さんにお話を伺いました。

運送技術は「当たり前」。印象とマナーが生む付加価値

田中陸運株式会社は、プロの演奏家が使用する楽器をはじめ、取り扱いに細心の注意が求められる品物の輸送を得意としています。運送業界において事故を起こさず安全に荷物を届ける技術は必須ですが、同社はそれを「評価されるべき特別なこと」ではなく、「満たしていて当然の前提条件」として設定しています。その上で、他社との明確な差別化を図り、顧客から真の信頼を得るために力を注いでいることが、乗務員の身なりや受け答えといった人間的なアプローチです。
田中さんはこう語ります。「大切な楽器を預けるお客様、特にそれがお仕事に直結する演奏家の方々にとって、少しでも不安を感じさせるような対応は絶対にあってはなりません。無事に運ぶという結果だけを追求するのではなく、荷物をお預かりする際にご安心いただけるような、乗務員の印象やマナーを何よりも大切にしています。安全に運ぶ裏側の努力は100%行って当たり前であり、お客様の心に寄り添う姿勢こそが、私たちが提供すべき本当の価値だと考えています」

事業所に設置されている太陽光発電設備

【画像】事業所に設置されている太陽光発電設備

サステナビリティは企業の責任。社会の要請に応える取り組み

また同社は、環境負荷の低減を目指すサステナビリティ活動にも力を入れています。事業所への太陽光発電設備・蓄電池の導入や、「川崎市脱炭素経営アクション推進事業者」への認定、さらには環境省が策定した環境マネジメントシステム「エコアクション21」の認証・登録に向けた申請など、その取り組みは多岐にわたります。物流を担う企業として、環境への配慮は事業を継続する上で不可欠な社会的責任であると位置づけているのです。
「トラックを走らせる事業である以上、環境への影響は避けて通れません。近年は環境に対する社会的な制約も厳しくなっており、環境対応車の導入コストなども上昇していますが、それでも物流事業者として環境保全に真正面から取り組む義務があると考えています。こうした活動を推進することは、日ごろお世話になっているお客様への配慮であり、企業としてのコンプライアンスを遵守し、社会からの信頼に応えるための重要な柱となっています」と力を込める田中さん。

熊本地震の際には、トラックで救援物資を輸送

【画像】熊本地震の際には、トラックで救援物資を輸送

メインバンクの提案で知った、税金の使い道を自ら選べる制度

田中陸運株式会社が企業版ふるさと納税を活用することになったきっかけは、メインバンクである阿波銀行からの提案でした。以前から制度名を見聞きしたことはあったものの、内容までは深く把握していなかったといいます。しかし、銀行の担当者から直接説明を受けたことで、自社が納めるべき税金の使い道を明確な目的のために指定できる制度であることを理解し、取り組みを決断しました。
当時の経緯について、田中さんは次のように振り返ります。
「普段納めている税金は、具体的に何に使われているのか、見えにくくなっています。その点、企業版ふるさと納税は、自分たちが納める税金の一部を、共感できるプロジェクトへ確実に届けることができます。使途がはっきりと示されていることは、寄付をする側にとって大きな安心感につながりますし、非常に理にかなった良い制度だと感じました。今回は、メインバンクである阿波銀行さんからのご提案もあり、徳島県内の自治体を自ら調べて、美波町のウミガメ保護プロジェクトを応援することにしました」

昭和30年代の事務所と、当時使用していたトラック

【画像】昭和30年代の事務所と、当時使用していたトラック

企業理念とマッチする「物語」が、今後の寄付選定の鍵になる

今回の美波町への寄付は、企業版ふるさと納税という仕組みを実際に体験する第一歩となりました。今後の制度活用についても前向きですが、単に寄付を繰り返すのではなく、自社の事業内容やサステナビリティへの取り組みと深く結びつくようなプロジェクトを厳選していきたいという明確な方針をもっています。
今後のビジョンについて、田中さんはこう語ります。
「もちろん善意だけで寄付をすることも素晴らしいですが、企業として継続的に取り組むのであれば、自社の理念や活動としっかりマッチングすることが重要です。例えば、私たちの本業である物流の課題や環境問題など、社内やお客様に向けて発信する際に、しっかりと『物語』を描けるようなテーマが理想ですね。今後、そうした親和性の高いプロジェクトに出合うことができれば、積極的に利用していきたいと考えています」

田中陸運株式会社代表取締役田中大策さん

【画像】田中陸運株式会社代表取締役田中大策さん

負担なく地域貢献を実現しつつ、企業の魅力を高められる

企業版ふるさと納税は、大企業だけでなく、地域に根差して堅実な経営を続ける多くの中小企業にとっても、無理なく社会貢献を果たせる仕組みです。田中陸運株式会社の事例は、金融機関からの提案をきっかけに、自社の経営方針と照らし合わせながら制度を有効活用した好例といえます。
「企業版ふるさと納税の最大の魅力は、企業としての経営基盤をしっかりと守りながら、負担を最小限に抑えて社会貢献ができる点にあります。何より使途が明確であり、税制上も優遇されているため、企業にとっても非常に合理的な選択でもあります。活用を検討されている企業でしたら、自社が大切にしている理念や方向性に合致するプロジェクトをぜひ探してみてください。共感できる自治体とのマッチングが実現すれば、それは単なる寄付にとどまらず、企業の魅力を高め、新たな価値を生み出す素晴らしい発信へとつながっていくはずです」と田中さんは熱く語ってくださいました。

語り手

田中陸運株式会社代表取締役

田中大策さん

会社・団体名

田中陸運株式会社

 
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